吹奏楽コンクール全国大会出場を控えた、
私たち北宇治高校吹奏楽部。
うだるような夏の暑さが去り、秋の涼しげな気配が近づいたころ。
先輩が退部するかもしれない……。
私たちを襲った衝撃は大きく、不安をそう簡単に拭うことができなかった。
美人でカリスマ性があって、ユーフォが上手くて、みんなから頼りにされている「特別」な先輩。
でも、ふとした瞬間に見せる氷のように冷たい表情、他人を突き放すような瞳、誰にも本当の自分を見せない先輩。
「全国に出たい」
誰よりもそう思っているのに、ただの高校生のくせに無理に大人ぶろうとする先輩。
そんな先輩が私は苦手で……、
もしかしたら嫌いだったかもしれない。
だけど私は——。
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